東沙諸島はどんな島? 無人島? 大きさや位置、行き方など

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東沙諸島はどんな島? 無人島? 大きさや位置、行き方など

2020年8月7日

中国軍が東沙諸島の奪取を想定した上陸演習を名言したという気になるニュースが入っています。

ここで、「東沙諸島っていったいどこ?」と思った方も多いのではないかと思い、その情報についてまとめてみました。

東沙諸島はどんな島?

東沙諸島の読み方は「とうさしょとう」。「プラタス諸島 (Pratas Islands)」とも言います。南シナ海の北部にあり、中華民国(台湾)が実効支配している島です。

東沙諸島は東沙島(東沙環礁)、北衛灘環礁、南衛灘環礁の3つの珊瑚環礁からなります。東沙島以外は満潮になると海の中に姿を消すため国際法の上では島とは定義されません。

大きさ

直径 約20km

約2800×860メートル

陸地面積 約1.74㎡

環礁水域の面積 約300㎡

自然環境・気候・資源

東側に環礁が連なり、標高は低く、常に風波にさらされています。台風の襲来も多いです。

気候区分は「熱帯モンスーン気候」に属します。豊かな自然生態で、淡水があり熱帯性植物に覆われています。

明治時代に日本の探検家は羽毛を得るため南シナ海に進出。アホウドリを探すうちに東沙諸島にたどりついたのですがアホウドリには出会えず代わりにカツオドリを目的を代えました。フン採取されたリン鉱石を肥料や軍備に利用するなどして乱獲するうちカツオドリは絶滅したと言われています。

周辺海域には海底鉱物資源の埋蔵の可能性が指摘されています。さらに漁業資源も豊富なため、中国の漁船も頻繁に入り込んでいると言われてきました。

人口は? 無人島なの?

有史以来長らく無人島でしたが現在は行政上所属する高雄市の職員や行政院海岸巡防署(沿岸警備隊)の職員などが常駐しています。

宿泊施設やテニスコート、東沙空港や道路が整備され、高雄市の市営バスも運行されているそうです。

プラタス諸島の画像・写真

Google mapの航空写真を見てみると、滑走路が島内の大部分を走っているのがはっきりと見えます。

東沙諸島はどんな島? 無人島? 大きさや位置、行き方など

私は行政院新聞局と国防部が企画したプレスツアーで東沙島(プラタス島)を取材する機会を二度、得ました。特に、このカレンダーで使ったカットは機内から特別許可を得て撮影したものです(笑)台湾が実行統治している事実をより多くの人に知ってほしいです。 pic.twitter.com/U4u1lbumB4

— 片倉佳史(かたくらよしふみ) (@katakura_nwo) January 30, 2019

東沙島(プラタス諸島)について書いた記事。お問い合わせがあったので貼り付けます。この島には一人の興味深い日本人が絡んでいました。渡航は難しいので「知られざる台湾領」と言える存在。お時間のよろしい時にご覧ください。2018年執筆。#東沙 #プラタス #台湾 #片倉佳史 https://t.co/erRgvymhxa pic.twitter.com/KXoeUWl5Md

— 台湾魅力探索MEMO (@tw_tabibito) April 4, 2020

東沙諸島とはどこにある? 場所・地図

周辺地域からの距離

中国大陸から 200km

香港から 南東方向へ直線距離で320㎞

高雄市から 南西方向へ直線距離で438㎞

地図で位置を確認

拡大地図だと位置関係がつかみづらいですね…

もう少し大きくして台湾からの位置関係を確認してみました。

日本からの位置関係はこんな感じです。

東沙諸島への行き方

自然の生態保全を目的として、現在一般観光客への開放は行われていません。
 
 

領有権移動の歴史

清の管轄

1820年 第7代皇帝嘉慶帝の時代に「東沙」の名が登場するようになる

1730年 清の時代に東沙諸島を広東省恵州の管轄に入るも、その後わずかな漁民が滞在するのみでほぼ無人島状態

日本の管轄

1901年 玉置半右衛門が外務省に東沙島の所属伺いを立てる

1907年 日本人の西沢吉治他2名が事業を開始。日本政府に日本領台湾への編入を申請

1908年 マカオ沖で起こった日本船第二辰丸拿捕事件に対して日本は強硬な姿勢で清国を追究。このことが民衆の反発を招き、大規模な日貨排斥運動へと発展

清の管轄

1909年 広東省水師提督が領有権を主張し日本政府への抗議を行う

1909年 日清両国の協議により領有権は清国に明け渡された

日本の管轄

1937年  暴風雨に乗じて東沙島に上陸し占領

1939年 第二次世界大戦勃発。旧日本海軍は南シナ海全域を新南群島として支配。東沙島に中継用の滑走路と気象観測施設を作る。

中華民国の管轄

1945年 アメリカ海軍が東沙島を無血占領。通信施設や気象観測施設などを破壊

1945年 中華民国が連合国の一員として戦勝国となる。東沙島を広東省の管轄に。

1946年 中国大陸で国共内戦。東沙諸島は蒋介石政権が占拠し実効支配を開始

台湾の管轄

1949年 海南特別行政区の管轄に。

中華民国政府が台湾に移行した後もそのまま台湾の支配下にとどまる。

1979年 高雄市に属することが正式に決定 

2000年 国防部の管轄だったが、台湾の海上保安当局が軍から管轄権を委譲

2007年 台湾政府は東沙諸島を東沙環礁国家公園に指定

2008年4月 中国漁船団が漁船基地を構築したことが問題になる。

基地は海岸巡防署員らによってただちに撤去された。

まとめ

日本とも関係が深い東沙諸島。台湾からすれば日本で言う尖閣諸島のような感覚ではないでしょうか。

中国軍の東沙奪取演習のニュースはけして対岸の火事ではありません。2020年はあまりにも多くのできごとが続き思考停止に陥ってしまいそうな状況ですね。

ただただ世界の平和を第一に願うのみです。

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